法律事務所の取り扱い案件は主にどのようなものがあるの?
法律事務所の主な取り扱い案件は民事事件ですが、中でも一般市民間のトラブル全般である一般民事事件と家庭内の紛争である家事事件を扱うことが多いです。民事事件のほかに、刑事事件や少年事件、行政事件、企業法務に至るまで様々な案件があり、法律事務所により専門分野が分かれることもあります。
法律事務所で主に扱うのは一般民事事件と家事事件
法律事務所では主に民事事件である一般民事事件と家事事件について取り扱っています。そもそも民事事件とは何か、民事事件は他の事件とどう違うのかについて説明します。
民事事件・刑事事件・行政事件はどう違うの?
弁護士が取り扱う事件は、大きく刑事事件・民事事件・行政事件の3つに分かれます。それぞれの内容は以下のとおりです。
刑事事件
傷害、痴漢、強盗などの罪を犯した者に対し、国家機関が罪を問うことが刑事事件です。加害者に制裁として処罰を科すには、検察官が裁判所に加害者を起訴し処罰を求めます。
民事事件
民事事件は一般市民の間で争われるトラブルで、被害者が加害者に対し損害賠償を求める事件のことです。裁判所は法で裁くのではなく人と人の間に立って利害の調整を図ります。
行政事件
行政事件は、私人が国や地方公共団体に対し提訴する訴訟のうち、行政事件訴訟法の適用を受ける事件のことです。同じように国や地方公共団体に対する訴訟でも、民法や商法が適用される事件は民事訴訟になります。
一般民事事件と家事事件の違いは?
一般の人が抱えているトラブルのほとんどが民事事件に該当し、法律事務所で扱う案件も民事事件が中心です。民事事件でも一般市民間のトラブルを一般民事事件、家庭内のトラブルを家事事件といいます。
一般民事事件とは
友人にお金を貸したのに返してくれない、会社を不当に解雇された、損害賠償請求といった私人間のトラブルを一般民事事件といいます。話し合いによって解決できない場合、主張する側が原告、相手方を被告として裁判を起こし請求を行います。
家事事件とは
民事事件の中でも、離婚や相続などの家庭内での紛争を特に家事事件といいます。弁護士が介入しても相手方との協議が成立しない場合、家庭裁判所での調停や審判を申立てます。それでも解決に至らなければ、最終的には訴訟を提起して裁判所の判断を仰ぐことになります。
民事事件は具体的にどのような案件があるの?
冒頭で法律事務所では主に民事事件を扱うことが多いと説明しましたが、民事事件ではどのような案件があるのか詳しくみていきましょう。
一般民事事件とは?
一般民事事件は日常生活で一般市民の間で起こる事件のことで、その内容は様々です。具体的には、以下のような事例があげられます。
- 損害賠償の請求
- 労働・雇用問題
- 借地・借家問題
- 消費者トラブル
- 不動産関連問題
- 近隣トラブル
損害賠償の請求
損害賠償の請求とは、損害を与えられた被害者がその損害を金銭的に評価し、加害者に請求することです。交通事故の被害者が加害者に損害賠償を請求したい、また相手方の提示額が納得できない場合や、医療過誤、その他日常生活での損害賠償請求案件があります。
労働・雇用問題
会社を不当に解雇された、給料を支払ってくれないといった労働者と使用者との間の問題です。また上司からセクハラやパワハラを受けた、勤務中に事故に遭ったけれど会社の手続きに問題や不安がある場合なども含まれます。
借地・借家問題
貸主がアパートの家賃を滞納している借主に対し、滞納分を回収した上で立ち退きを要求したいという家賃滞納が典型例で、借主側の問題では敷金が返ってこない、多額のリフォーム代を請求されたなどがあります。
消費者トラブル
訪問販売で必要のない高額商品を購入させられた、先物取引やその他の金融商品で多額の損失を被った、インターネットのサイトを一回クリックしただけで料金を請求された、さらに製品事故で重大なケガをした、購入した新築住宅が欠陥だらけだったなどの問題があります。
不動産関連問題
家や土地、マンションなどの不動産売買に関する問題には、欠陥住宅で建築基準法等の法規違反がある、売買契約に違反しているなどのケースがあります。また隣地との境界線や隣地通行など相隣関係トラブル、不法占拠といった問題もあります。
近隣トラブル
隣近所のピアノの音やペットの鳴き声、マンションの住民の足音がうるさいなどの騒音トラブルがあります。騒音以外にも、悪臭やプライバシーの侵害、近隣に高層ビルが建設されることによる日照権侵害や景観侵害、建築工事中の振動なども問題になります。
家事事件とは
家事事件とは家庭内での紛争全般のことで、弁護士が介入し相手方との交渉で解決できない場合は家庭裁判所の調停や審判を利用して問題の解決を図ります。主な事例として以下のような問題があります。
遺産相続問題
将来発生する遺産相続に備えて遺言書の作成を代行したり、遺産相続が実際に発生した時には相続財産の分割や相続人に関する調査、相続放棄などの手続きを行います。
離婚問題
離婚には夫婦の話し合いで決める「協議離婚」、調停で慰謝料などを決定してもらう「調停離婚」、裁判で結審する「裁判離婚」があり、必要に応じそれぞれの段階で弁護士と相談し解決を図ります。
成年後見制度
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などの精神上の障害で判断能力が十分でない方が不利益を被らないよう保護し、支援するための制度です。弁護士は成年後見人として財産管理を行います。
民事事件以外の取り扱い案件の内容とは
法律事務所によっては民事事件以外にも様々な案件を取り扱います。それぞれの具体的な内容についてみていきましょう。
民事事件以外にはどんな分野がある?
法律事務所の多くは一般市民間のトラブルである民事事件を中心に取り扱っていますが、民事事件以外にも様々な案件があり、その分野を専門的に扱う法律事務所もあります。具体的な内容について説明します。
- 刑事事件
- 少年事件
- 企業法務
刑事事件
刑事事件では、裁判所から選任されて国選弁護人となる場合と、罪を犯した本人または家族などから依頼されて私選弁護人となる場合があります。弁護士は、起訴前に被疑者の起訴猶予処分の要求を行ったり、起訴後に被告人と面会し裁判に向けて今後の方針を検討します。場合によっては裁判所に保釈請求をして被告の身柄を解放してもらうなどの手続きを行います。
少年事件
少年事件では、弁護士は少年の付添い人として不当な身体拘束を防ぐなど、少年の権利や利益を守ります。本人や家族とのやり取りを通して事件の原因を考察し、少年の更生をサポートする役割もあります。
企業法務
知的財産に関する法的トラブルの解決やM&A(企業の合併・買収)に関わるほか、企業と顧問契約を結んで契約書の作成やコンプライアンスに関する社員教育の支援を行うなど、弁護士が活躍するフィールドは多岐にわたります。
法律事務所で取り扱う案件は民事事件が中心。事務所により専門分野もある
法律事務所で取り扱う案件は一般民事事件、家事事件が中心ですが、事務所によりそれぞれ専門分野や得意分野があります。各事務所のホームページで業務内容やこれまでの実績などをチェックしてみましょう。