弁護士秘書のキャリアプラン~法律事務職の現状と将来性

弁護士秘書のキャリアプラン

弁護士秘書は主に弁護士のスケジュール管理など一般的な秘書業務だけでなく、事務処理や雑務を含め事務所の運営に関わるあらゆる業務に携わります。弁護士秘書として経験を積み重ねながら法律知識やその他のスキルを身につけることにより、レベルの高い仕事を任せられるようになり、キャリアアップを図ることができるでしょう。

弁護士秘書の現状は?

クライアントの数が多く多忙な弁護士であればあるほど、弁護士秘書の存在は大きくなり、業務の重要性も増します。弁護士秘書の雇用状況や勤務形態など、その現状はどうなっているのでしょうか。

弁護士秘書の雇用状況

弁護士秘書は「法律事務職員」という名称で募集されることもあります。法律的な専門知識も身につけることもできるため、一般事務よりも人気は高まっています。

ポストに空きが出た場合の補充が多い

日本国内の法律事務所は弁護士とスタッフ含めて10名前後で運営している小・中規模事務所が多いです。そのため弁護士秘書の募集は、ポストに欠員が出た時の補充としてハローワークや転職サイトを通して求人情報が掲載されることが多いです。

パラリーガルよりも需要は高い

小・中規模事務所の弁護士秘書の新規採用は欠員補充がほとんどですが、それでもパラリーガルより求人数は多いでしょう。法律事務を全てこなす弁護士であればパラリーガルは必要性なく、事務処理や秘書業務を中心に行う弁護士秘書の需要が高いといえます。

大手事務所の場合は新卒・通年採用も

大手や渉外法律事務所の場合、法学部出身者に限らず新卒採用を行い人材育成に力を入れている事務所もあります。また経験がある優秀な弁護士秘書であれば通年採用も行っていますので、ホームページの採用情報を詳しくチェックしてみましょう。

弁護士秘書の雇用形態は

弁護士秘書の雇用形態は、正社員、パート社員、派遣社員などさまざまです。自分に合っている勤務時間や報酬などの条件があるか、求人情報を確認してみましょう。

法理事務所の経験があれば優遇される

弁護士秘書は法律事務所での経験があれば正社員で雇用されることが十分可能です。特に中・小事務所の場合は人材育成に時間とお金をかける余裕がないことが多く、経験者は優遇されるでしょう。

パート社員・派遣社員であれば未経験者でも

弁護士秘書の経験がなくても、パートや派遣社員での募集であれば求人もあります。勤務時間や時給の面で条件に合えば、まず法律事務所での勤務経験を積むという目的で応募を考えてみてもよいでしょう。

弁護士秘書の将来性について

弁護士秘書は経験を積めば積むほど、弁護士から重要な業務も任せられることも多くなり、仕事のやりがいは増していきます。弁護士秘書としての将来性についてみていきましょう。

弁護士秘書は有望?

国民にとって司法を身近なものにし誰でも利用できるようにするため、2000年頃から司法制度改革が進められてきました。それに伴い、近年弁護士や法律事務所の数も増えているため、弁護士秘書の需要は増えていくと考えられます。

能力のある弁護士秘書の重要性

法律事務所の増加に合わせて事務所間の競争は厳しくなっており、弁護士をサポートする弁護士秘書の存在は必要不可欠です。より効率良く業務を行うため能力のある優秀な弁護士秘書は事務所の重要な戦力になるでしょう。

専門性の高い弁護士秘書は活躍の場が広がる

最近は派遣社員として弁護士事務所で働く人も増えています。弁護士秘書の専門スキルを持った人であれば、一定期間の勤務経験を積み重ねながらさらに条件と環境のよい職場をめざすことも可能です。

弁護士秘書は長く働ける仕事?

法律事務所での実務経験があればどこでも働ける

民間企業の事務は会社にとって大きく異なることがありますが、弁護士秘書の業務内容はある意味特殊で、どの事務所も共通する内容があります。法律事務所は全国どこにでもありますので、地方へ転居することがあっても経験と実績があれば全国どこでも働けるでしょう。

女性が働きやすい職業

法律事務所には弁護士以外は女性のスタッフが多いため、子どもの病気など家庭の事情で休まなければいけない時も理解されやすいでしょ。また出産・育児休暇や時短制度などが整備されているところも多いため、女性が長く働きやすい職場と言えます。

弁護士秘書のキャリアプラン

弁護士秘書として将来のキャリアプランを考える場合、どのようにケースが考えられるのか具体的にみていきましょう。

パラリーガルになる

弁護士秘書のキャリプランとしては、弁護士秘書よりも給与が高いパラリーガルをめざすことが一番身近な選択肢です。

まず弁護士秘書として経験を積む

パラリーガルになるには特別な資格は必要とされませんが、経験者が優遇されるため、未経験者の場合はパラリーガルではなく弁護士秘書での採用が多いです。まずは弁護士秘書としての経験をしっかり積み、同じ事務所でパラリーガルをめざすか他の事務所へ転職を考えても良いでしょう。

法律事務職員・パラリーガルの資格試験を受ける

法律事務職員の資格試験は、JLAA(日本リーガルアシスタント協会)の「パラリーガル認定資格試験」と、日弁連(日本弁護士連合会)の「法律事務職員 能力認定試験」があります。JLAAの試験は民間資格ですが、合格すればパラリーガルの「資格」が取得できます。日弁連は能力認定試験で資格ではなく、また法律事務所での勤務経験が必要になります。

専門性の高い弁護士秘書をめざす

専門知識やスキルを身につけ専門性の高い弁護士秘書になれば、中規模以上の法律事務所への転職が可能です。さらに経験を積み大手事務所の弁護士秘書になれば働き甲斐も増し、好待遇が期待されます。

専門分野の弁護士秘書になる

弁護士秘書として働きながら司法書士や行政書士などの資格取得を目指し、法律の勉強をします。大手法律事務所の場合、法律知識を評価され特定部門の弁護士を専門にサポートしている弁護士秘書もいます。

秘書のスキルを高める

秘書という業務を極めるため、秘書技能検定、秘書能力検定の資格を勉強してもよいでしょう。大手事務所でトップクラスの弁護士になればなるほど、弁護士秘書の存在は重要であり、高いスキルと人間性を併せ持つ人が必要とされます。

渉外事務所・外資系事務所への転職

渉外事務所、外資系事務所の平均年収は日本の法律事務所よりも高い傾向にあります。最近はグローバル化が進んでいるため、英語が得意な人であればそのスキルを武器にキャリアアップを図ることができます。

弁護士秘書以外の道も

弁護士秘書としての実績と経験があれば、将来的に法律事務以外のキャリアプランも考えられます。

管理部門の責任者

法律事務所で弁護士秘書やパラリーガルとして長く勤務した後、管理部門の責任者になる道も考えられます。中規模以上の事務所は護士やスタッフの数も多く、様々な部門に分かれているため、民間企業と同様に管理部門が存在します。法律事務所は各々に独特の慣習があるため、管理部門は事務所内の状況をよく知る人でないと勤まらないことがあります。

民間企業への転職

弁護士秘書の経験やスキルが豊富な人であれば、民間企業でも歓迎される可能性は大きいでしょう。大企業の重役秘書や法務部門、英語ができれば外資系企業への転職も考えられます。

弁護士秘書は経験とスキルがあれば将来性のある仕事

弁護士秘書は高い事務処理能力やコミュニケーション能力が必要とされ、法律事務所の運営にも関わることがある重要な業務を担っています。そのため弁護士秘書としての職務経験とスキルあれば将来性は十分あり、さらによい環境をめざしキャリアアップしていくことも可能です。

こちらも読まれています
RECOMMENDED

閉じる