弁護士のキャリアパス|転職目的で選ぶ自分に合った転職先

執務中の弁護士

弁護士は年齢が上がると転職のハードルが高くなるため、キャリアプランは早めに考えておくことが大切です。弁護士の働き方としては、大きく分けて法律事務所の弁護士と組織内弁護士に分かれますが、目的に応じて志望先はさらに細かく分かれます。自分の転職する目的をよく考えた上で法律事務所・企業を選ぶのが転職成功の秘訣です。

弁護士のキャリア設計はお早めに

今、弁護士は多方面で活躍できる時代です。異なる規模・業務分野の法律事務所に転職したり、組織内弁護士(インハウスロイヤー)に転身する弁護士も珍しくありません。長期的なキャリア形成を図る上では、司法試験に合格したら早めにキャリアプランを考えておくことが大切です。

組織内弁護士・法律事務所間でのキャリアチェンジは難しい

弁護士が目指す方向性としては、大きく分けて組織内弁護士と法律事務所の2通りがあります。しかし、一般的にこの2つの間をまたがって転職することは難しいと言われています。

法律事務所から企業内弁護士へ転職する場合

最近では、法律事務所から企業内弁護士を目指して転職するのがトレンドとなっています。弁護士としての経験や専門知識を請われて採用されるケースが多いですが、マネジメント経験や企業法務を扱った経験がないと受け入れてもらえるのが厳しい側面もあります。

組織内弁護士から法律事務所へ転職する場合

組織内弁護士から法律事務所へ転職する場合は、自分で顧客を持っていないと難しいとされています。ただ、仕事やその他の活動を通じて得た自分の人脈を駆使して法律事務所に顧客を紹介できれば、組織内弁護士から法律事務所への転職は必ずしも不可能ではありません。

弁護士なら、若いうちにキャリア設計を

弁護士として成功できるかどうかは、若いうちに将来のキャリアプランを描くことができるかどうかにかかっています。いつからいつまでに、どんな相手をターゲットとし、どんな案件に携わりたいのかを考えてキャリアを設計することが重要です。

経験年数2~3年の若手アソシエイトが求められている

法律事務所・企業を問わず、新人を教育する経済的・時間的余裕のないところが増えています。最近では、弁護士になって2~3年の即戦力となれるような若手アソシエイト弁護士を求める傾向が多く見られるようになりました。

転職を考えるなら若いうちがベスト

年齢が高くなればなるほど求められるスキルや経験が増えていくため、転職へのハードルが高くなります。そのため、転職を考えるのであれば、なるべく若いうちに転職活動を開始するのがベストでしょう。

弁護士事務所を目指す人のキャリアプラン

一口に法律事務所と言っても、規模や扱っている分野はそれぞれで異なります。転職先の選び方として、「やりたいこと」と「ターゲット」の2つから、転職希望先について考えてみましょう。

「やりたいこと」から考える

自分がどの分野に携わりたいか、どのようにキャリアを積み重ねていきたいのか等の観点から考えると、志望先としては以下のような事務所になるでしょう。

  • 幅広い分野の案件に携わりたい
  • 特定の分野でキャリアを重ねたい
  • 独立を目指したい

幅広い分野の案件に携わりたい

特定の分野に絞らず、幅広い分野の案件に携わっていろいろな業界を見たい場合は、幅広い業務分野を扱う総合系法律事務所を選ぶとよいでしょう。大手法律事務所であれば、有名な大手企業とタッグを組んで業務に携われるチャンスもあります。

特定の分野でキャリアを重ねたい

企業法務や知的財産など、特定の分野に絞ってキャリアを積み、専門知識を深めていきたい場合は、ブティック型法律事務所がおすすめです。ブティック型法律事務所では、大手法律事務所に引けを取らないようなクオリティの高い案件にも携わることができます。

独立を目指したい

「法律事務所で勤務経験を積んで、ゆくゆくは独立したい」と考えるなら、個人受任ができる法律事務所を選びましょう。事務所の業務に支障のない範囲で、個人受任の案件を取っていけば、独立しても仕事に困ることなくスムーズなスタートが切れるでしょう。

「ターゲット」から考える

次に、どのような顧客をターゲットにしたいのかを考えてみましょう。大きく分けて、個人を相手にする場合と企業を相手にする場合の2通りあります。

外資系企業を相手にしたい

外資系企業のビジネスをサポートしたいと考えるのであれば、外資系の法律事務所がおすすめです。ただし、専門知識に加えて高い英語力が求められるので、英語の勉強をしっかりしておきましょう。目安として、TOEICで800点以上のスコアがあれば安心です。

社会的立場の弱い人や中小企業の力になりたい

社会的立場の弱い人や深刻な問題を抱えていて困っている人を助けたい、地域でがんばる中小企業をサポートしたいと考えるなら、一般民事系法律事務所を選びましょう。一般民事系法律事務所であれば、顧客を身近に感じながら業務を遂行することができます。

組織内弁護士を目指す人のキャリアプラン

近年、コンプライアンス意識が高まっている企業や自社で法的問題を処理したい企業が増えていることから、弁護士の採用に力を入れる企業が多くなっています。司法修習後、法律事務所に入らず初めから企業に入る弁護士も珍しくありません。

ビジネスに携わる場合と行政に携わる場合がある

組織内弁護士には、ビジネスに携わる「企業内弁護士」と、行政に携わる「行政庁内弁護士」の2つのパターンがあります。それぞれどんな特徴があるのかを踏まえた上で、志望先を選びましょう。

  • 自らビジネスの主体になりたい
  • ファイナンス部門を極めたい
  • 「行政庁内弁護士」の選択肢も

自らビジネスの主体になりたい

自分がビジネスの主体になって案件を動かしたいなら、事業会社で企業内弁護士として勤務するのがおすすめです。また、結婚・出産などのライフイベントを控えている場合は、ワークライフバランスも重視しながら働くことができます。

ファイナンス部門を極めたい

法律事務所でファイナンス分野に携わっていた経験を活かして、企業内弁護士として金融機関で働く選択肢もあります。法務部門だけでなく、ミドルオフィスやフロントオフィスで活躍することも期待できるでしょう。

「行政庁内弁護士」の選択肢も

制度上、5年という期限付きではありますが、法律分野の高度な知識を手に行政庁に入って公務員として勤務することも可能です。多くの場合は所属の弁護士事務所に籍を置いたまま行政庁に勤務することとなりますが、勤務先としては以下のようなところがあります。

  • 法務省
  • 金融庁
  • 外務省
  • 公正取引委員会
  • 証券取引等監視委員会

キャリアの積み重ねも意識し「何のために転職するか」考えよう

転職の際には、「何のために転職するか」について考えることが第一です。目的が定まれば、取り扱いたい分野やターゲットにしたい顧客を明確にした上で、目的がかなうような法律事務所や企業を探して、求人に応募しましょう。

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