弁護士の転職に年齢は影響する?評価への影響と転職を成功させるコツ

転職を考える弁護士

弁護士の転職は、一般的な会社員の転職よりも年齢の影響は少ない

弁護士が法曹資格を得るまでには、相当の意思と努力を必要とします。そうした思いを抱いて弁護士になったからこそ、「いまの事務所は本当に自分に合っているのか?」「自分に合う他の事務所に転職すべきではないか?」と、身の振り方を真剣に悩むこともあるでしょう。

そこで気になるのが、弁護士の転職における年齢問題です。
一般的な会社員であれば、「転職は35歳まで」など、年齢は採用に影響するといいます。では弁護士の場合は、転職に年齢は影響するのでしょうか?

結論から言えば、弁護士の転職は、一般的な会社員の転職よりも年齢の影響は少ないです。

その理由を以下で見てみましょう。

弁護士はそもそも司法試験合格までに年齢を重ねがち

弁護士はそもそも司法試験合格までに年齢を重ねがちです。

司法試験合格者の平均年齢は28.9歳(2019年度合格者データ)であり、その後に1年間の司法修習を受けます。
実際に弁護士として活動開始するのが30歳程度になることも多いため、弁護士の転職は一般的な会社員の転職よりも年齢の影響は少ないのです。

専門分野のキャリアを積んだ弁護士は年齢が高くても需要がある

専門分野のキャリアを積んだ弁護士は、年齢が高くても転職市場における需要があります。

弁護士の仕事には、

  • 渉外
  • 企業法務
  • 倒産
  • 知的財産
  • 交通事故

など様々な専門分野が存在します。これらの専門分野のキャリアは、一朝一夕に身につけられるものではありません。

したがって、専門分野のキャリアを積むとなると相応の年齢になることも多く、転職への年齢の影響は少ないといえます。

弁護士に転職に適した年齢はある?

弁護士の転職に適した年齢は、これまでのキャリアと志望先の事務所によっても異なります。

  • 大手法律事務所(四大法律事務所)
  • ブティック型法律事務所
  • 一般民事系法律事務所

の3つに分けて、年齢の転職への影響を見ていきましょう。

四大法律事務所など大手法律事務所なら20代後半まで

四大法律事務所と呼ばれる、

  • 西村あさひ法律事務所
  • アンダーソン・毛利・友常法律事務所
  • 長島・大野・常松法律事務所
  • 森・濱田松本法律事務所

など大手法律事務所への弁護士の転職には、年齢が大いに影響します。
したがって、20代後半までが転職に適した年齢と言えるでしょう。

これらの大手法律事務所に入所すれば高年収が約束されるため、新卒採用の時ですら苛烈な競争を勝ち抜く必要があり、中途採用で入所するのは容易ではありません。

高年齢で大手法律事務所に転職したいなら専門性を高めよう

しかしながら、高年齢でどうしてもこれらの大手事務所に転職したい場合には、自分の専門性を高めましょう。

大手事務所に転職する場合、幅広く浅くというキャリアはあまり評価されません。
いま勤務している事務所の取扱事件が幅広く浅くという場合、一度ブティック型法律事務所に転職するなどして専門性を高めれば、転職が成功しやすくなります。

ブティック型法律事務所の場合、20代〜40代頃まで幅広い年齢で転職可能

ブティック型法律事務所の場合、年齢が20代〜40代頃まで幅広い年齢で転職が可能です。

ブティック型の法律事務所では、四大事務所など大手事務所と比較すると、一つの事件に対する担当弁護士の裁量権が大きい場合が多いため、転職においては、担当事件を自分の事件として全容を把握し、自分の裁量・責任で解決できる弁護士が好まれます。

中途採用においては、応募先が扱う専門分野の経験があればベストであり、経験者の弁護士は30代後半から40代など比較的高年齢であっても採用されやすいです。
応募の際には、これまでの経験をアピールしましょう。

また、プロ意識とポテンシャルが高い弁護士であれば、20代〜30代前半などで経験が浅くとも採用される可能性があります。
応募にあたっては、これまでに担当した事件へのプロとしての取り組み方や、転職後の仕事への意気込みなどをアピールすることが大切です。

一般民事系法律事務所の場合、ボス弁との相性で適した転職年齢が変わる

地域の中小企業の法務アドバイスや、個人の交通事故、離婚、相続、債務整理など、地域に根ざした幅広い分野の一般民事や刑事を扱う一般民事系法律事務所では、ボス弁との相性で適した転職年齢が変わります。

一般民事系法律事務所では、ボス弁一人にイソ弁一人〜数人というケースも多く、ボス弁一人が事務所の人事権を握っています。
したがって、ボス弁との相性やボス弁の意向次第で、転職に適した年齢が変わります。

一般民事系法律事務所に就職したい場合、事務所訪問やボス弁との個人面談で、ボス弁の弁護士としての主義心情などを理解し、そのうえで自分がボス弁の方針に合致していることを伝えれば、転職年齢はさほど問題視されないはずです。

また一般民事系法律事務所では、他の事務所よりも刑事事件を多く手がけるので、刑事事件にも意欲的であることをアピールしましょう。

年齢が高い弁護士が転職を成功させるコツ

いくら弁護士の転職に年齢の影響が少ないとはいえ、年齢が全く関係ないわけではありません。
では年齢が高い弁護士が転職を成功させるコツには、どのようなものがあるでしょうか?

自分の専門性をアピールする

40代以上の年齢が高い弁護士は、自分の専門性をアピールし、これまでのキャリアを活かして転職先に貢献できることを伝えましょう。

逆に言えば、40代以上の年齢が高い弁護士は、未経験の分野にチャレンジするのはお勧めできません。未経験者を採用するのであれば、柔軟性のある若い弁護士のほうがずっと有利だからです。

豊富な人脈・営業力をアピールする

若い弁護士にはない豊富な人脈・営業力をアピールすれば、志望先の事務所に高評価されるでしょう。

現在の弁護士業界は、残念ながら、一昔前のように黙っていてもクライアントが寄ってくる業界ではなくなりました。だからこそ、豊富な人脈でクライアントを獲得できる営業力のある弁護士は評価されます。

弁護士転職での年齢にまつわる注意点

20代〜30代前半の若手弁護士は、ポテンシャルを意識したアピールを

30代後半〜40代の高年齢弁護士は、経験と専門性をアピールしよう

30代後半〜40代の高年齢弁護士は、なんと言っても経験と専門性のアピールが大事です。
ある程度の年齢を重ねている以上、応募先が期待するのは、これまでにどのような事件を担当し、どのような実績をあげたかです。

ですから高年齢弁護士の転職では、若手弁護士の転職以上に、これまでのキャリアの棚卸しに力を入れ、培ってきた経験や専門性をアピールできるようにしましょう。

弁護士の転職では、年齢に応じた対策で採用を勝ち取ろう!

弁護士の転職には、一般的な会社員の転職よりも年齢の影響は少ないですが、年齢がまったく無関係というわけではありません。

応募先ごとに転職に適した年齢も変わりますし、若手弁護士であればポテンシャル等を、高年齢弁護士であれば経験や専門性等をアピールするなど、年齢に応じた対策を講じることが大切です。

転職を考えている弁護士は、自分の年齢を受け入れてくれやすい転職先を探し、そのうえで年齢に沿った対策を取って採用を勝ち取りましょう。

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