弁護士が転職を成功させるために必要なことって何だろう?

弁護士の転職

弁護士の増加に加えて、法の改正、経済の変化等、弁護士を取り巻く環境は変わりつつあります。そのため、弁護士が転職をする上では、市場のニーズの把握が大切です。要求されるスキルや心構えは何か、今後活躍する上でどんなことが重要なのか、転職を考える際に知っておいた方が良いことを具体例を交えつつ解説していきます。

現在の弁護士に必要な力とは?

司法試験に合格し、弁護士の資格を持っているからと言って現在の市場のニーズに対応できるとは限りません。法律の改正、及び経済や企業間の取引の複雑化によって、弁護士の仕事は一昔前と比較して遥かに広域に渡るようになりました。では、現在の弁護士に要求される能力はどんなことなのでしょうか。求められる理由と併せて見ていくことにしましょう。

必要となるスキル

語学力

近年、弁護士の業務も国際化が進んできています。例えば身近なところでは、国際離婚や文化の違いによる近隣トラブル等の事案がそれにあたります。また、企業も国際取引が増えたことで、海外に法人を構えるようになりました。現地での業務の機会も増えるでしょう。この様に、国内、国外の両方で語学力が求められる様になります。特に日本とかかわりの深い国の語学力がある人材のニーズが予想されるので、中国語や英語などを使いこなせると転職で有利になると言えます。

交渉力

これまでほとんど国内で完結していた企業間の取引が、グローバル化やIT化によってより高度で複雑なものになりました。その結果、外部との交渉(渉外)をする機会が増えてきたこともあり、交渉力が必要となっています。一昔前までは、『渉外弁護士』という渉外業務専門の弁護士がいましたが、現在は企業内で『渉外担当』として業務にあたることが多いです。因みに、M&A等を担当するようになると破格の収入を得ることも可能です。もちろん、この業務につくのは簡単なことではありませんが、目指してみる価値は大いにあるでしょう。

コミュニケーション能力

いつの時代にも盲点となるのがこの資質です。依頼人は困って事務所を訪れている訳ですから、その相談を、共感しながら、親身になって弁護士が聞いてあげることが大切です。法律の専門家が威張ったり偉そうに振る舞ったりしては、一般人であるクライアントは萎縮してしまい、話がスムーズに進まなくなってしまう可能性があります。加えて、平成21年から導入された裁判員裁判では、一般人である裁判員にも分かるように事件の内容をかみ砕いて説明する力が要求されます。そういった意味でも、コミュニケーション能力がますます重要になると言えるでしょう。

弁護士のあるべき姿とは

弁護士が転職を考える際に、これからの時代に『弁護士としてあるべき姿』、『必要な心構え』は、いったいどんなことになってくるのでしょうか。見ていきましょう。

依頼人が利用しやすい環境を整える

依頼人が弁護士への相談をためらうのは『弁護士は敷居が高い』と感じていることが大きな理由の一つです。近年では、弁護士も依頼人が相談しやすくなる様に、既にいろいろと施策を行っています。

料金体系の見直し

「弁護士は敷居が高い」と言われる理由の一つに多額の費用がかかることが挙げられます。特に、弁護士費用は総額でいくらかかるのかが分からず不安に感じる人が多いのではないでしょうか。そのため、近年では料金体系を明確にしたり、相談料を無料にする等、依頼人が相談しやすい様な計らいをしているところもあります。

インターネット上での相談

費用の他にネックとなっているのが、「いかにトラブルを抱えていることを周囲に悟られないか」ということです。最近、スマートフォンのアプリ「LINE」を使って、全国の相談者から寄せられた法律相談に担当の弁護士が対応するサービスを開始した弁護士事務所があります。相談に行く際、法律事務所の建物に入るのは人目がはばかられるけれど、インターネット上での相談なら周囲の目も気にならずに済みます。もちろん、最終的には面談での対応になりますが、特にスマホ世代ではSNS上のやり取りの方が依頼人の懐に上手く入り込むことができ、むしろスムーズに進むケースも多いと言います。

これからの弁護士の課題は?

法律があるからといって全てのトラブルを解決できるわけではありません。一筋縄ではいかない、難しい問題にどう取り組むかは今後の重要な課題となります。

“隠れた”ニーズへの取り組み

ニーズはあるものの、様々な事情から表に出てきにくい事案というのは少なからず存在します。これからは司法の目が届いていない分野にどう対処するかが問われる時代になると言えるでしょう。

ストーカー被害

近年、ストーカー関連の事件で手遅れになったケースが後を絶たないことからも分かるように、ストーカー被害はストーカーが実際に何らかの犯罪行為をしないと、警察に届け出ても事件として捜査されないという現状があります。そのため、ストーカーによる重大事件を未然に防ぐことが困難であるのが現状です。2012年にストーカー規制法の改正がされたものの、未だ十分な対策はできていないと言えます。

虐待や看護の現場でのトラブル

虐待や看護の現場で起こるトラブルというのは、ほとんどが家族や親族内での出来事です。その為、被害者は事後の事を考えて、内々に処理しがちです。加えて、この種の犯罪では、被害者が幼い子供や認知症を患った高齢者であるケースが多いため、自ら外部に被害を訴えることができず、事件が発覚しにくい現状があります。仮に発覚しても、加害者がしらを切れば、立件することは難しいのです。

多面的な見方がある問題への関わり方

以下のような複数の側面を持つ問題には慎重な対応が求められます。この様な問題にどの様に関与していくかも、これからの重要な課題です。

少年法に関する関わり方

近年未成年の凶悪犯罪が増えてきたこと等を受け、「少年法の改正をするべき」「少年法そのものが必要ない」という声が挙がっています。しかし、他方では、「少年法によって多くの非行少年に更生のチャンスが与えられている」という意見もあり、議論を呼んでいます。

性犯罪を非親告罪にするかどうか

強姦罪や強制わいせつ罪などの性犯罪は、現状では「親告罪」ですが、被害者にとって、状況を再現したり思い出したりするのは辛い作業であるため、告訴せず、泣き寝入りするケースが多いです。この問題を解消する為に、性犯罪を「非親告罪」にする案が浮上していますが、被害者の心情への配慮の観点等から、まだ実行には移されていません。

今後、弁護士が活躍する為にはどうすればいいの?

弁護士の数が急激に増加したこと等から、弁護士一人当たりの顧客数は減り、競争は熾烈なものになりつつあります。そんな中で、競争に勝つためにはどの様なことが必要なのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

他の弁護士との差別化を図る

社会が弁護士に求めていることは何かを判断し、その上で他の弁護士との差別化を図ることが大切になります。今後高いニーズが期待されるのは、IT技術の分野、知的財産権に関する事案等でしょう。

弁護士が活躍するためのキーワードは“専門分野の特化”

経済や企業間の取引は、より複雑かつ広域になってきたため、どんなに有能な弁護士でも、一人であらゆる分野のことをこなすのは不可能になりました。そのため、今後弁護士が活躍するには、ある業種・分野に特化することが重要です。そうすることで、深い知識をもってして依頼人のニーズに応えることができ、他の弁護士と差別化も図れるのです。

「次世代の弁護士に求められるもの」を考えよう

今回は弁護士が転職を成功させるうえでは欠かせない、これからのニーズを中心に解説しました。昔と今とでは業界の事情も大きく変わったため、求められるスキル、働き方も違ってきています。弁護士過剰の現代において、転職を成功させるためには“次世代の弁護士には何が求められるか”を把握し、他者との差別化を図ることが肝心なのです。

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