弁護士の転職活動における心構え|転職活動中の弁護士が考えるべきこと・求められるもの
ここ最近、弁護士が「売り手市場」になっており、各法律事務所や企業は採用活動を活発化させています。転職の際には、自分がどのようなキャリアを積みたいかによって進むべき方向性が違ってくるので、どのような方向性で行くのかをよく考えることが大切です。また、採用側が求める高いスキルを身に着けることも必要になります。
弁護士の転職活動の概要を知ろう
ここ最近、法律事務所の求人数は堅調に伸びており、まさに「売り手市場」と言うべき状況です。そのため、転職活動を考えている弁護士にとっては、選択肢が広がっていると言えるでしょう。
弁護士の求人動向はどうなっている?
求人数の増加に伴って採用競争が激しくなっており、弁護士会費の事務所負担、福利厚生の充実など受入体制を整えている法律事務所も増えています。また、大手企業を中心にインハウスロイヤー(企業内弁護士)を採用する企業も急増しており、法律事務所だけでなく企業でも弁護士の採用活動を活発化させているのが現状です。
求人は増加傾向
ある法律分野専門の転職エージェントによる調査では、法律事務所の求人は増加しており、特に2016年には大手法律事務所だけでなく10~30名以下で業務を行っている少数精鋭の法律事務所の求人数が伸びを見せています。また、ワークライフバランスに配慮している事務所の求人も増えていて、弁護士にとって選択肢が広がりつつある状況です。
インハウスロイヤー(企業内弁護士)の求人も伸びている
度重なる企業の不祥事、コンプライアンス意識の高まりにより、社内の法務部門や専門職にインハウスロイヤー(企業内弁護士)を置く企業が増えています。景気の動向にもよるものの、金融専門職での弁護士採用も伸びを見せつつあります。
選考の流れはどうなっている?
弁護士が法律事務所の求人に応募するときの選考の流れは、一般企業とほぼ変わりません。応募書類を送付し、書類選考を経て面接となり、採否の結果を待ちます。中には筆記試験が課される場合もあるので、応募時によく確認しましょう
選考の仕方
書類選考をして、2~3回の面接を経て内定に至るケースが多くなっています。中には面接の前に適性検査やSPI試験を課すところもあります。
内定をもらえるまでの期間はどれくらい?
転職活動開始から、内定が出るまでの期間はおよそ2ヵ月(1ヶ月~3ヶ月)が目安となっています。法律事務所の場合、秋~12月末、1月~3月末までは各事務所とも採用計画通りに採用枠を満たしたいという思いから、ややスピーディーに選考が進む傾向があります。
弁護士として法律事務所に転職するには?
弁護士の求人数が増えているといっても、条件の良い大手有名法律事務所には応募が殺到し、採用までのハードルが高くなっています。必ずしも大手事務所が優れているわけではないため、求人に応募する前に自分がどのような方向性に進みたいのかをじっくり考えることが大切です。
弁護士の転職者は何を求めているのか?
弁護士として法律事務所へ転職を考える人の特徴は、数年前と現在では違っています。最近の転職者の傾向はどのようになっているのでしょうか。
自らの成長を目的とした転職が増えている
最近の転職者の傾向を見ると、数年前に比べてキャリアアップやスキルアップ、年収アップなどを目的とした転職が増えています。多くの転職者が「自らを高めたい」との目的意識を持って転職しようとしている様子がうかがえます。
ブティックファームが人気
本気で自分の実力をつけたいと考える弁護士から人気を集めているのが、特定の分野に特化した法律事務所である「ブティックファーム」です。ブティックファームは大手法律事務所よりハードルが低いことが特徴で、インハウスロイヤーの経験しかない人、企業法務の経験が少ない人でも採用されやすくなっています。
弁護士が法律事務所に転職するときに考えるべきこととは
弁護士が法律事務所に転職する場合、まずは自分のキャリアを振り返ることか始めましょう。振り返りを通して、「転職を通してどうなりたいか」の自分軸をはっきり持つことが大切です。
まずはキャリアの棚卸から
一般企業への就職・転職にもよく言われることですが、弁護士の場合もまずはキャリアの棚卸から始めます。以下のことを自分自身に問いかけて、すべて回答してみてください。
- 専門分野は何か
- どんな案件を手掛けてきたか
- どれくらいの事件数がこなせるか
- 弁護士として心がけていること
- 今後どのような弁護士になりたいか
方向性を定める
一口に法律事務所といっても、あらゆる案件を扱う総合法律事務所もあれば、民事知財など特定分野に強い事務所もあります。また、中小規模の事務所であれば、経営者に近いところで独立のノウハウを身に着けることもできます。どんな分野を扱いたいのか、また将来独立を考えるのか否かによっても転職先の選び方は異なるので、自分がどのような方向性でキャリアを積みたいのかをじっくり考えることが大切です。
転職する弁護士に求められるスキル・経験
弁護士は、自らの専門知識を使って様々な相手とやり取りを行いながら事件を解決しなければなりません。そのため、非常に高度な知識や経験、スキルが求められると言えます。
弁護士にはどんなスキルや経験が必要?
弁護士には、法律知識だけでなく、様々な分野での高いスキルが必要です。業務を遂行するにあたり、具体的にどのようなスキルや能力が求められるのかについて見ていきましょう。
- コミュニケーション能力
- 業務遂行力
- 向上心
- 英語力
コミュニケーション能力
まず、今起こっていること、これからすることをクライアントにわかりやすく説明する能力が必要です。また、法律事務所に来るクライアントは何かに困っている人がほとんどなので、クライアントの話をじっくり聞いて気持ちに寄り添う共感力も求められます。
業務遂行力
どんなに多忙でも、また難しい案件でも最後まで受けた仕事をやり遂げる力や、粘り強く相手と交渉する力が問われます。困難な状況に立ち向うための非常に強い精神力が必要です。
向上心
法律を取り巻く情勢は日々変化するため、法改正が行われた際や新しい学説や判例が出た際にはすかさずチェックするなど、知識をアップデートすることが必要となります。常に最新の知識を身に着けようとする向上心が大切です。
英語力
渉外事務所や外資系のクライアントが多い事務所では、英文契約書の作成やリーガルチェックをすることがあるため、高い英語力が必要になります。おおむね800点以上、最低でも700点以上のスコアは取っておいたほうがよいでしょう。
弁護士としてキャリアアップするために
弁護士として今後キャリアアップを図るためには、実務経験を積みながら自らを高める努力を怠ってはいけません。法律事務所での業務は多忙を極めることが多いですが、その中でも常に知識をアップデートしていくことが成長への近道です。