弁護士事務所と法律事務所の違いは?

弁護士事務所と法律事務所の違いは?

弁護士法では、「弁護士事務所」とは法律事務を生業とする事業体のことであり、「法律事務所」とは法律事務を行う場そのもののことを指す、とされています。しかし、両者に明確な違いはありません。ただ、ひと口に「弁護士事務所」「法律事務所」と言ってもいくつか分類の仕方があるため、それについても併せて解説します。

弁護士事務所と法律事務所

「弁護士事務所」と「法律事務所」はあまり区別せずに使っている方も多いのではないでしょうか。巷では、弁護士事務所と言うと弁護士が経営している事務所のことですが、法律事務所と言うと弁護士のみならず、司法書士や行政書士、弁理士が経営している事務所のことを指すこともあります。

弁護士事務所と法律事務所の意味の違いとは?

弁護士事務所と法律事務所には大きな違いはありません。どちらも、弁護士が経営していたり、勤務していたりする事務所のことを指しますが、一説には弁護士法人のことを「弁護士事務所」、それ以外の事務所のことを「法律事務所」と言うこともあります。

「弁護士事務所」とは

「弁護士事務所」とは、その名のとおり弁護士の事務所のことであり、1人または複数の弁護士から構成される、法律事務を業として行うための事業体のことを指します。

「法律事務所」とは

「法律事務所」とは、法律事務の事業を行う場そのものを指します。弁護士法上、弁護士の事務所は法律事務所と名乗ることになっています。1人の弁護士が2個以上の法律事務所を設けることはできませんが、自分の事務所を持ちながら他の法律事務所に務めることは可能です。

分類方法で異なる法律事務所の種類

法律事務所は、分類方法によって分類のやり方や名称が異なります。この記事では

  • 弁護士法上の分類
  • 専門による分類

の2つの方法でどのように種類が分けられるのかについて解説します。

法律事務所 弁護士法上の分類

まず、弁護士法上、法律事務所は以下の4つに分類されます。

  • 弁護士法人
  • 弁護士法人に属さない法律事務所
  • 外国法事務弁護士事務所
  • 外国法共同事業

それぞれどんな特徴があるのでしょうか。

弁護士法人

弁護士法人とは、弁護士業務を行う法人のことを指します。2002年4月に弁護士法が改正されて、弁護士法人を設立できるようになりました。弁護士法人には、社員が弁護士でなければならないこと、債務を負った場合は社員全員が連帯して返済義務を負わなければならないことなど細かい決まりがあります。

弁護士法人に属さない法律事務所

弁護士が個人または誰かと共同で運営する事務所のことを指します。弁護士法人のような細かい規定は特にありませんが、弁護士一人につき1つしか事務所を持てないことになっています。

外国法事務弁護士事務所

こちらは、日本で活動している外国の法律事務所のことを指します。1986年に施行された、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(外弁法)により誕生したもので、この法律ができて初めて、外国の法律事務所が日本で活動することが可能になりました。

外国法共同事業(外資系)

2003年の外弁法の改正により、外国法事務弁護士と日本の弁護士が共同してリーガルサービスを提供できるようになりました。この事業のことを「外国法共同事業」と言いますが、別名「外資系」と呼ばれることもあります。

法律事務所 専門による分類

また、法律事務所を専門性によって分類することも可能です。
ここでは一般的に使われる

  • ブティック型法律事務所
  • 総合法律事務所
  • 渉外事務所

の3つの分類の違いについて見ていきましょう。

ブティック型法律事務所

ブティック型法律事務所とは、ある特定分野を専門に扱う専門性の強い法律事務所のことです。ブティック型は中堅や大手法律事務所出身の弁護士が立ち上げている事務所も多く、ハイレベルな業務に携わりながら専門性を磨くことができるチャンスも多くなっています。

総合法律事務所

総合法律事務所とは、民事・刑事・企業法務と幅広い分野の業務を扱う事務所のことを指します。倒産・事業再生や知財関連業務など、先進的な企業法務に携わることができるのも大きな特徴です。

渉外事務所

渉外事務所とは、主に国際業務を扱う法律事務所のことを指します。近年のグローバル化にともない、大手企業を中心に海外進出を図る企業が増えています。そのため、渉外事務所ではそれに付随して発生する現地企業との契約関連業務や現地事情のリサーチ、訴訟問題などに対応しています。

弁護士事務所と法律事務所に明確な違いはない

「弁護士事務所」と「法律事務所」はどちらもよく使われる言葉ではありますが、両者に明確な意味の違いはありません。分類の仕方によっては意味合いが異なるので、そちらのほうをよく理解するようにしておきましょう。

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